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ばたりと、人が倒れる。二人のやり取りを見ていた者達が次々に。葛島もその場で膝をついた。
「な、なんや、急に眩暈が」
「気分が――」
立っていられたのは、刀真と氷雨と木下の三人。
店の電気が全て落ちる。ある一点、テレビを除いては。
店の外でも異変は起きているらしい。時折、悲鳴やどよめきが聞こえる。
刀真と氷雨は互いに耳打ちしあう。
「ちょっと、早すぎるんじゃない? もう、連中の準備万端整で、後は爆弾スイッチ押します五秒前ってこと?」
「そこまで絶望的な状況じゃない事を祈りたいところだ。今のところ、死者も出ていないし、物の怪も出ていない」
先ほどまで長閑な日本全国旅の番組を映していたテレビが、今はノイズの波を店内に響かせている。と、しばらくしてから、ノイズの中で何か人の顔のような輪郭が浮かび上がる。
『我らは鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)の亡霊――芦屋道満の意志を継ぐ者である』
戦いの火蓋は厳かに切られる。
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