第三章 鬼哭啾啾の亡霊

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 氷雨がそろそろいいかなという風に、畳の上に六壬式盤――天変地異を察知したり、吉凶を判断するための式占(ちょくせん)を行うための道具で、地を表す「與(よ)」と呼ばれる台座と、天を表す「湛(たん)」と呼ばれる円形の天板から成る――を置いた。  六壬式盤からは霊力が迸り、小さな星となって線を引きながら宙に立体的な地図を映しだした。  大きく映し出されたのは、海上都市――りゅうぐうだ。  氷雨の指の動きに合わせて、小さな星が動き、りゅうぐうへの道筋を描く。 「刀真さん、一真君、晃君、月ちゃん達は共に、南雲さんの“天城”に乗船し、“りゅうぐう”へ。で、私達は海上から付近に及んでいるであろう怪異の影響を調べつつ、“りゅうぐう”へと向かうわ」 「へ?」と舞香。 「私達?」と碧もきょとんとしている。  そんな二人を見て、氷雨は「何をぽかんとしてるの」と呆れた。 「勿論、あなた達にも手伝ってもらうわよ」
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