第三章 鬼哭啾啾の亡霊

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†††  腐り堕ちた肉の臭いが風となり吹き付ける。べっとりと肌に吸いつくような空気が吐き出される。  ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン――。  壁が盛り上がり、血管となり脈を打つ。  内側から膨れ上がり、肥大していく。  醜悪な水の音。  ドクン、ドクン、ドクン、ビチャ……ドクン、ドクン、ビチャ……ドクン、ドクン、ドクン、ビチャ……ドクン、ドクンドクン、ドクン、ドクン、ビチャ……ドクン、ドクンドクン、ドクン、ドクン、ビチャ……ドクン、ドクン、ビチャ……。  重力に引かれて落ちる肉、地面に落ちて、内臓が潰れる音。  落ちたそれらは床でどろどろにかき混ぜられていく。  子どもの粘土遊びのように。  ぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、大きな唇が出来た。  グチャグチャドクドクグチャグチャドクドク。 ――ァァア嗚呼、  どれだけ混ぜても…………………………………………………………………………  どれだけ大きくなっても………………………………………………………  どれだけ叫び声あげても………………………………………………  ……………………元には戻らない。  ………元が何だったか覚えてない。  ……。  ……人の声がする。  …………三人だ。  ………………そうだ。  たすけてもらわないと。 「ここからだして」
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