第三章 鬼哭啾啾の亡霊

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†††  手のひらが空しく宙を握る。 「おい、今のは何だったんだ!?」  晃が肩を激しく揺さぶるが、一真は「わからない」と答えるしかなかった。  物の怪の気配はしなかった。いや、物の怪が霊気を隠形していたならば別だが……。 「今の、恐らく人間ね」  義賢が断言する。「なっ――」と、一真と晃は驚いて顔を見合わせた。この船に生きた人間がいる? 「まさか、二十年前の生存者とかじゃないですよね……」 「さぁ……ねぇ。けど、ネットが繋がったことも含めて考えると腑に落ちない点がいくつかあるのよねぇ」 「え、いや、だからこの船には」 「二十年前のネット機能で、今の携帯は繋がるのかしら?」   あっ、と晃は自分の迂闊さを呪った。 「あのページの紹介にはwifi機能って書いてあったけど……当時のネットって言えば大体が電話回線だよな。仮にネットが使えるとして、当時の機器でスマホのネットが使えるとも思えない」 「ここに人間がいた事と結びつけて考えてみるべきね」
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