第三章 鬼哭啾啾の亡霊

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††† 鬼哭啾啾――20年前にワタツミ神を利用して怪異を引き起こした霊能者集団。 動機は海上都市「りゅうぐう」建造阻止。 春日蒼の式神「日向」の結界によって怪異が起きた空間その物が凍結され、事態は終息……したかに思えたが――。 先日大峯山で起きた怪異、そして天曹地府祭(てんちゅうちふさい)の影響により霊気の乱れが生じ、その影響か、はたまた第三者の介入か、「竜宮」に施されていた結界は解かれてしまった。 ……だが、仮に「第三者」がいたとして、鬼哭啾啾と名乗っていた術者達ではない事は明々白々である。目の前でその「成れの果て」が腕を伸ばし助けを求めてくるのを、義賢は長刀で躊躇なく叩き払う。 「恐らく、彼らは20年前の犠牲者ね。ここにさっきまであった祭壇使ってワタツミ神を祀りたて、怪異を引き起こさせた」 「けど、自分達も怪異に巻き込まれて物の怪と化した……?」 「間抜け過ぎやしないかね、誰も危険性について考慮しなかったのかね」  一真と晃が交互にそう言い合い、義賢も戦いながら思考を巡らす。 ――彼らがもしも実行部隊であるとするなら……。  使い捨てにされた可能性も大いにある。彼らの頭領が今も生きているとするならば……、一度は封じ込められた結界が破れた事と無関係であるとは考え難い。  と、そこまで考えた時だった。突然、目の前で船底が爆発した。
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