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「祭壇はその銀勇さんが破壊してくれたわ。他の船の物も破壊してくれるみたいね。個人的にはどうも、引っ掛かりを感じるけど」
『というと』
「彼が私達の先を行ってるところかしらね。見たところ1人で行動しているみたいだったけど、なんのバックアップも無く、私達より先にあそこに辿り着けるとは思えないのだけど」
『……20年前の怪異では、彼はその背後に日本政府がいることを口にしていた。だが、ここ20年、政府の命を受けて動く組織の存在は確認されなかった』
「陰陽寮が見つけられなかっただけじゃないですかね……」
晃が横から叩いた減らず口に、南雲はあえて言い返さなかった。今この時点で、敵とも味方ともつかない銀勇について論じているわけにはいかないのだ。
『海上の船に関しては、吉備の親子に任せる。君たちには、上陸した月の援護を頼みたい』
「って、あいつ、1人で戦ってんの!?」
南雲がさも一個大隊でも送り込んだかのように言うのを聞いて、一真は思わず聞き返した。得体が知れない敵の本拠地、それも未だ敵の本当の正体が掴めずにいるのだ。改めて、月の怖気ない度胸とそれに見合う実力の高さを聞かされた気がする。
『彼女の式神と、天后の式神兵も一緒だ……が、ついさっき連絡が取れなくなってしまってな』
「って!? いきなり危機的状況!?」
一真は慌てぶりに対して、南雲は変わらず言葉を続ける。
『あぁ、だから、早く合流しないとな』
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