第一章 始まりは終わりの地で

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†††  天舟―壱、現陰陽寮が用意した対怪異用の戦略型退魔舟の甲板上には、四神、玄武の使い手である三善慧玄、十二天将「天后」の使い手、二つ名を「海賊」南雲輝海(なぐもかがみ)そして、春日刀真、春日蒼、吉備真二、吉備氷雨等、現陰陽寮中、最も腕の立つ陰陽師が揃っていた。そして、鬼女こと後鬼の義賢、その息子である五人の鬼達もいる。  その中にあって沖一真は思わず萎縮してしまいそうになった。土御門創二と最初に会った時以上の重く、だがどこか洗練された空気。  そして――。 「キー君、お腹すいてない?」 「いや、別に……」  その場の雰囲気を物ともしない猛者が二人いた。 「あの、笹井さん?」 「あ、この娘のことかな?」  何を訊ねたのか一瞬で分かったらしく、ややうんざりしたように紹介する。  歳は十五位。もっさりと盛り上がった桃色の髪をツインテールにした目のぱっちりとした少女だ。華やかながらも丈の短い和服に下駄。どこか現実さを欠いた雰囲気をまとっていた。 「わかるみたいだね。彼女はそう、『人間』ではない。今はね」 「前は人間だったってこ――」 「へへー、よろしくね」  両手を握られ、元気よく挨拶される。どうもはぐらかされたかのような感じがするのだが……、それを黙って見ていない女子が二名。
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