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白刃の衝撃波が影を纏めて祓う。その攻撃を掻い潜って接近してきた影を晃の拳が吹き飛ばす。
――とはいえ。
街の亡霊は尽きることを知らない。船での戦いと同様、どこかに存在する社を破壊しない限り、彼らが解放されることはないのだろう。
だが、ここを通る以外に月達に辿り着く術は無い。大技を放って一時的にでも路をこじ開けることができれば。
「俺が前衛を務める。お前は霊力を集中させろ。でかい一撃、今のお前なら出来るだろ?」
「そうね、期待させてよ?」
晃と義賢の問いに一真は頷いた。二人が亡霊達に突っ込んでいく。
一真は破敵之剣へと霊気を送る。刃の中で気を循環、物の怪を討ち滅ぼす霊力へと変換していく。
その時だった。
はらりと眼前で白い何かが散る。
――雪?
違う。肌に触れるそれは冷たくない。これは灰だ。
「愚かな人間共を殺せ、灰にしろ――それが人の願い」
朧に光る隻眼の少女がゆらりと宙に揺れる。
「どうした、一真!?」
前衛として戦う晃が異変に気付いたのかそう呼びかける。だが――、
「晃、見えないのか!?」
「何が!?」
少女の姿は一真にしか見えていないらしい。
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