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「月は?」
言われて、一真は慌てて隣を見た。いつの間にか月の姿がいなくなっていた。晃も、おやっと驚いたが、やがて何事か飲み込めたらしく、にやにやと意地の悪い笑顔を浮かべた。
「お前、いつからそんなにモテるよーになりやがった」
「……なんのことかなー?」
「怖いなら、俺もついていってやるが?」
「だから、なんのこっちゃ……」
一真は心当たりのない振りをしつつも、かなり焦った。これは早く追いかけていくべきシチュエーションだということは分かっている……つもりだったのだが。
「馬鹿ね、あんた達。月ちゃんが逃げ……、消えたのは私のせいよ。私のせい。男共は黙って待ってなさい」
未来はサバサバとした調子でそう言い残し、目を点にしている男達を残して船内へと月を探しに出かけた。
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