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口外されることが怖いのではない。一真は話しながらその事に気がついた。ここにいる人達が話を聞いてしまってからの反応が怖いわけでもない。
自分は生まれた時から異様な存在だったのだと、その事実が頭の中で廻る。
かつての陰陽少女と敵対した物の怪――元は人間だった――の名は一真。
その魂は現代の一真の中へと転生したらしい。
そして、その物の怪の兄の名は博人――どんな方法を使ったかは知らないが、彼の魂もまた現代へと転生した。
自分の知ってしまった事全てを話し終えたが、刀真をはじめとした陰陽師達は動じる事なく、今聞いたことについて思慮をめぐらしている。
そして真っ先に口を開いたのは刀真だった。
「君の中に眠るもう一つの魂については、現陰陽寮も注目し続けていたが……、君が見たというその光景は、果たして現実のものか?」
「わかりません、だけどあれが単なる敵の見せた幻影だとも思えなくて」
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