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ふと今まで話していた件とは殆ど関係のない、というよりもどうでもいいような些末な事に、一真は気がついた。そして、その些末でどうでもいいような事が、ひょっとしたらここしばらくの月の様子がおかしかったことと関係するかもしれないことに。
――そうだ、明日は俺と月が……。
「もしもし、聞いてる?」
「え、あぁ、聞いてる。聞いてるよ」
霧乃に肘で突っつかれ、我に返る一真。しかし、皆それぞれが考えを整理していたので、会話はしばらく途切れてしまった。
「あのー、もしもし?」
二度目の確認は空から聞こえた。反射的に全員が頭を上げ、上げて唖然と目を見開いた。
凧に乗ったツインテールの巫女が頬を膨らませている。
「他の皆は降りてきたってのに、なんでいつまでたってもここにいるわけよー? 私待ちくたびれっちまったよー」
「ハハハ、すまんすまん、舞香」と、真二が空の上の娘に手を振る。三善はふーっと息を吐くと、一同に向かってひとまずこう告げた。
「各々、まだ話してねぇこともあるだろうがよ。とりあえず、続きは地上で、話すとしようか」
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