第一章 始まりは終わりの地で

41/71

35人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
――馬鹿だ。私。自分のことばっかり考えて……。 「あ、月、なんだよ、先に降りてたのか」 「ごめんなさいっ!!」 「おわっ!?」  一真は丁度梯子を使って舟から降りようとしていたところだったが、突然謝られてバランスを崩しそうになった。同じように降りようとしていた晃が何を思ったのか、無表情で一言。 「ほら、彼女が謝ってんぞ」  そして、梯子から蹴落とした。 「はぁあああああああああっ!?」  絶叫しながら落ちてくる彼氏(晃視点)は、月の目の前で、地面にクレーターを作り出した。  幸い、直前で霊気をかき集め身固めを発動していた為、落下の衝撃は防げた。起き上がると同時に、一真は晃を見上げて怒鳴った。 「何、すんだごらあああああああ!!」 「いや、嫉妬」 「正直だね、あの人……一真の友達?」と晃を指差して訊ねる舞香。「あの容赦のなさ、なんか気が合いそう」とかなんとか言っているのは碧だ。純粋に一真の心配をしているのは月だけだった。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加