第一章 始まりは終わりの地で

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「だ、だいじょうぶ? 一真」 「あぁ……戦いが終わったんで油断してたな、敵は身内にいるってことか……あのやろぉお」 「お、落ち着いて……」   おたおたと差し出す月の手を掴んで、一真は立ち上がった。 「んで、どうしたんだよ、改まって……」 「ん、うん……、そのごめん。話を途中で勝手に抜け出して」  そんな単純なことだけではないのだが、上手く話せない。できれば、二人だけで話したいのだが、それは甘えだろう。日向の視線が殺人光線のように背中に突き刺さる。それでも話せないのだから、月も相当なヘタレだ。 「あぁ、いやいいけどさ。日向から話聞いておいてくれよ」   「あ、あ、うん。今、全部聞いた」 「……そうか」  普段は安心感さえ覚える素っ気ない一真の言葉が冷たく聞こえる。泣きたい。今すぐこの場を逃げ出したい。首根っこを日向に掴まれているので出来ないが。
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