第一章 始まりは終わりの地で

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†††  外の喧騒を背で聞きつつ、霧乃は現陰陽寮の重鎮を前にしていた。一応「安倍晴明」としてではなく藤原霧乃としてこの場にいる。こういう話し合いの場においては、大した差はない。霧乃の体に乗り移ってくる晴明の魂は、霧乃の目や耳を通して全てを見て、聞いている。それをするのにわざわざ体を人格を乗っ取る必要はないそうだ。  現陰陽寮は晴明神社を本拠地としている。もちろん、表の世界で堂々とやっているわけではなく、陰の界を利用しているのだが、そこの地下に安倍晴明の本体もとい元の身体も置かれている。霧乃の身体を使わない普段は、そこに彼の魂が宿っているのだという。
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