第一章 始まりは終わりの地で

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 皮肉たっぷりな言葉はいかにも創二らしい。ただ、彼の言うことは事実でもある。九霊太妙亀山金母(きゅうれいみょうきさんきんぼ)またの名を西王母。  西の仙境、崑崙山(こんろんさん)の主人であり、玉兎(ぎょくと)や霊鳥を従えていたとされる。  西王母は月の加護を受ける或いは、月の神そのものとされているのは、中国において生まれた陰陽思想が強く結びついた結果だった。  「月」「女」「西」は陰陽思想においては、「陰」にあたる。そして対となる存在である東華帝君(とうかていくん)または東王父は、「陽」にあたり、「日」「父」「東」と結び付けられている。  ただし、西王母がよく知られているのに対して、東王父は伝説や物語で殆ど扱われない。一説によれば、西王母が出来たから、その対となる存在として東王父が“できた”とも言われている。  その東王父は、三足の烏を従えていたとされる。  陰陽思想において奇数は陽にあたるため、太陽の東王父が従える烏は三足とされている。  月に玉兎、太陽に三足烏とは日本神話にも通じるものがあるが、月と太陽に関する伝説は世界中にあり、奇妙なことにいくつもの共通点がある。 ――まぁ、それについてここでいちいち議論してたら、本筋が見えなくなるよね。
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