第一章 始まりは終わりの地で

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 瞬間、碧の容赦ない拳がトンベの禿げかかった頭を襲った。  一瞬、意識が飛んだのではないかと心配になったが、トンベは頭を摩りながら「冗談の通じねぇ娘だな」と憎まれ口を叩いた。 「トンベさま? 冗談にしても度が過ぎると思いますよ……?」  常磐が上品な殺気を放ち、嗜めた。横では碧もこちらはあからさまな殺気に満ちた笑みを浮かべていた。  後ろで震えている舞香と佐保の妹組がいたたまれない。 「さ、さほちゃんのところのおねーさんも怖いんだね……」   「そ、そうだよー。怒るとコワいんだからね」  茶番に付き合いきれないとばかりに、晃は頭を抑えて目を逸らし、八鹿へと視線を落とした。
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