第一章 始まりは終わりの地で

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†††  まず、話は二十年前、晃は勿論一真や月達が産まれる前にまで遡る。戦いの主役だったのは月の両親である刀真と蒼、碧、舞香の両親である真二と氷雨の四人。 「後、他に腕利きが二、三人参加してたんだがな。そこらへん話すと長くなるんで省くぞ」 「刀真さん達は、今どこにいるんです?」 「まだ作戦会議中だ。誰が行くのかってんでな。四人とも、自分が行きたがってるみたいだが……」 「四人もここを離れちゃ危険ってことっすか」  虚無の徒の台頭、物の怪の跋扈。そしてそれに便乗してよからぬことを企む霊術師達。栃煌神社はそうした連中からしてみれば、恰好のターゲットでもある。隙があれば容赦なく襲ってくることだろう。 「加えて、ここで手当てを受けている連中も含めて俺たちは怪異への対処に当たるやつを残して、ここから撤退する。いつまでもお暇してるわけにもいかねぇし、全員それぞれ持ち場ってもんがある」  現在、栃煌神社に留まっているのは、十二天将の使い手である慧玄と南雲(なぐも)輝海(かがみ)の二人。そして、ト組とその頭である神懸かりの踊り手、八乙女朝霞。ト組はその殆どが負傷しているので、恐らくは撤退するだろう。 「移動手段として、輝海は残す。あいつの式神と霊具は集団戦闘で役に立つんでな」  天城――壱とかいう舟を動かしていた男。彼とは殆ど話してはいないが、あの舟を三隻同時に動かすことのできる霊力を持っていると言われると、その力の凄まじさが分かるというものだ。
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