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「ただ、今回の怪異は極めて特殊でな。殲滅する前に、なんで〝再発″したのかを調査してぇところだ。んでまぁ、隠密に調査しなおかつ一大事があっても生き残れるやつってなると限られてくる。幸いにして、ここにはそんな修羅場を幾つも潜り抜けてきた連中が集まっているわけだがね」
と、慧玄の目が月、一真、晃、碧、舞香と移っていく。
「栃煌からは二人の陰陽師を出してもらうつもりだ。その手伝いをお前らにしてもらいたい」
「それは」と、晃を除いた四人が戸惑う中、未来が割って入ってきた。
「あの! なんで、一真がその中に入ってるんです?」
慧玄は怒るでもなく、どちらかといば申し訳なさそうに、が、一歩も引く気の無い態度で応じる。
「お前さんは永田君だっけか? 確かに、彼はまだ子どもだ。そうさな。俺は手伝い――いや、偽り無く言うならば〝戦力″として一真君達を引き抜きたいと思っている。が、本人の意志も確認せず、家族への断りもなく、死の危険と隣り合わせであるかもしれない怪異の戦地へと送り込むのは間違っているかもしれんな」
陰陽師だの怪異だのを理解できるかどうかは別として、家族に知らせたらまず間違いなく、止めようとするに違いない。今まで、一真は一言も家族に自分が抱えていることについて話したことはなかった。大体、いつも危険の方が向こうから迫ってくるのが常で、それに応じるしかないから向かっていった。
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