第一章 始まりは終わりの地で

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†††  二十年前――それが起きる前から、現陰陽寮は警戒態勢にあった。その怪異は予測されたものだったのだ。  前兆があった。しかし、それは霊気の乱れなどではなかった。むしろ、もっと明確な敵意、計画的に仕組みこまれた陰謀だった。  そう、つまりそれは人為的に引き起こされた怪異だったのだ。 「一真君や晃君、未来さん以外は知っているかもしれないわね」  道場から奥の休憩室であるお茶の間に話の場を移し、蒼はそう切り出した。月達陰陽師として育てられた者達は静かに頷いた。 「人為的に引き起こされた怪異……ね。それって誰が得をするんです?」
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