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「我々の力は特殊だ。陰陽師の力を一般人は知覚出来ない。仮に、一般人達の目の前で霊術を使ってみたとして、それを現実のものとして受け入れてもらえるかどうか。大方の人間は何かのトリックだと思うことでしょう」
「……使ってみればいいじゃねぇか」
真二の挑発的な言葉に、銀勇はフッと笑う。
「それもよいのですがね。この『知覚』されていないというのは、『力』として運用する上ではむしろ都合がいいとも思えませんか?」
「知らねーよ。つまりあれか? 一般人じゃ『知覚』しようのない『力』でもってこの国を支配しようとかそういう話か?」
「支配、ではありませんよ。秩序を保つための『力』として、陰陽師が注目を浴びているのです」
真二の言葉の返しは刺々しさはあるものの、敵意だとか殺意を感じさせない。年下の後輩が政治に関する熱論をぶちまけているのを、軽くあしらうかのような感覚。銀勇の年齢は聞いていないが、恐らく真二や蒼よりも一、二歳は若いのだろう。
「まぁ、どっちだって俺は構わないんだがな。それがどうしてお前が拳銃を俺達に向けるわけになるのかが聞きたいね」
「安心してください。元々当てるつもりはありませんでした。ただ、あなたが対人戦でどれだけの反応をするか見てみたかっただけです」
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