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「また、昔みたいに組めれば、と自分は思っていますよ」
「ふぅ……つまり、あれか。これまでの話から察するに、その政府の一部勢力ってのは、現陰陽寮の存在もお前から聞いているんだな?」
「そういうことですよ。彼らは陰陽師を力として取り込みたがっている。だが、そこで問題となるのが」
「陰陽師の政治的な立ち位置、か?」
銀勇の言う『力』の使い方がなんなのかは形が見えてこないが、国家で管理するとなれば、確かな地位を陰陽師に与える必要があるだろう。
だが、そんなことが出来る機関はこの国――この世界には存在しない。
「バカ正直に陰陽師を雇いますってわけにはいかないだろうな。それで、宮内庁か? しかし、宮内庁と言えど陰陽師を雇うわけにはいかないよな。表向きは神社本庁所属の神職か?」
「そういうことになりそうですね。因みに私は正規のルート……神社本庁からの多少の後押しによって、今の警備官の職についている……“ということになっています”。しかし、先生方が欲しいのは警備の力ではない」
あくまでも隠れ蓑に過ぎない。蒼と真二にここまで話すのは、彼のバックについている者達の判断なのか、それとも彼自身の覚悟によるものなのか。おそらくは後者だと蒼は思った。
「俺達の能力は広げようと思えば、様々な用途に使えるからな」
「あくまでも陰謀論に固執したいのでしたらご自由に……ただ、今日はそのことについて議論しにきたわけではない。それはあなた方も察しているはずでしょう?」
“表の世界”の権力者と繋がりを持つ彼が、現陰陽寮の本拠地である京都――晴明神社ではなく、今この場にいる理由。
「怪異テロ。我々はそう呼んでいる。そちらは?」
蒼は真二を見た。真二は銀勇の顔を見続けている。
「呪詛……ドーマンの呪詛と呼んでいる」
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