第1章

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僕は仕方なく注文したコーヒーの香りの中で、食べたくもないポテトをボソボソ と無理矢理つまんで口に入れながら視線を外し、眠気なんだか酔なんだか、それ ともその他の何かなのかわからない、その何かに頭の中に霧をかけられたように ボーッと窓の外を見るともなしに目をやった。すると。 「つか、で?なに?話って」 とそう切り出されて僕はやっと言わなければならないことを思い出し、はっとな って「ああ。そうそう。JCラインおしえてよ」と言ってポケットから自分の、 ずいぶん型落ちしたスマホを取り出して、それをJCの方につき出すと「は?話 ってそれ?」今度はJCがため息をついて、つまらなさそうに窓の外に目をやっ た。 「まぁ、いいからいいから、おしえとけって。べつにいいだろラインくらい。JCにもいい話なんだから」 「はぁ?なにそれ。つかなんかうさん臭いんですけど」 「いやいや。んな事ないって。ていうか1人でそんなことしてたら危ない目にあ うかもだろ?そんな時のためにも誰かよべるやついたほうがいいだろ普通に」 そう言うとJCは「んまぁ・・・それはそうかもだけど・・・。まぁいいやめん どくせ」と少し育ちの悪さを感じさせる食べ方でバーガーを片手で口にねじ込み ながら、バッグからスマホを取り出して、僕達はたがいにスマホを向かい合わせ ながらテーブルの上でふるふると振った。そして僕は。 「よしっと。んで?今日は?援助してくれるおじさんとどこいくの?」 「べつに。〇〇駅前で待ち合わせして、まぁレンタルルームじゃね?知んねーけど。相手が金ありゃラブホかも。つか今マジでピンチだからカラオケだけとかじゃ援助たんねーし」 とそれだけ確認し「そっか。んじゃあそのレンタルかラブホ出るまえにライン入 れて」と指示を出して「は?なんで?つかもう自殺くんに用ないんですけど」と いう、言われ慣れてはいるがいまだに少し刺さる言葉を「いいからいいから」な どとごまかしながら、見ているだけで胸の悪くなるポテトと、わずかに怪訝そう なJCを残して店を出た。
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