89人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
******************
「ねーねー」
「うん?」
「14日はデートしたいなぁ」
ちゃぽんと湯を揺らしながら、
ノンが寄りかかってきた。
クリスマスの1件以来、逢いたい日は、
前もって申告してくるようになった。
可愛い可愛い彼女である。
「14……あぁ、バレンタインか」
湯冷めしないよう、
ノンの肩に湯を掛けてやりながら、
智樹はこっそり天井を仰いだ。
正直、不得意とするイベントだ。
どれだけ氷と謳われようと、
智樹の『甘いマスク』とやらは、
女心を惹き付けるらしい。
甘いものは好きだがそれも限度ものだし、
男女のいざこざに巻き込まれることも、
多々あったため、
苦手意識が付いてしまったのだ。
「忙しい?」
最初のコメントを投稿しよう!