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湊と町を歩いているとき
大抵女は振り返って立ち止まり、
店に向かうまでの数十メートルの距離で
数回モデルだの芸能だのにスカウトされる。
ついでにあたしも一緒に声をかけられるから
めんどくさい。
「…うっとおしい」
ため息と共に少しかすれた声が
上から落ちてくる。
「それ、あたしのセリフなんだけど。」
視線を少し向けて呆れたように返事をする。
「でも今日はレイがいるから女が来ないや」
はは、と湊は少し無邪気に小さく笑う。
「そりゃ、女連れにはさすがに
声かけてこないでしょ?」
「いや、女友達と歩いてても
ふつーに声かけられる。
そんな女やめて、ワタシと遊ばないかって」
平然とそう返した湊に
目線だけで返事を返した。
こうも飛びぬけてルックスが良いと
いいことばかりではなさそうだ。
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