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  緊急口からストレッチャーで 診察室に運び込まれた貴子を 歩は心許ない気持ちで見送る。 既に今日の全ての予定キャンセルの連絡を済ませ 会社にも理由を説明し、早退を告げた。 一つ良かったのが今日の訪問先が 文也の事務所だったこと。 新人モデル2人の撮影に立ち会う予定だったが 仕方ない。 ここ1か月程の激務を思えば、無理もない。 とにかく、今は貴子の体調が戻る事だけを 考えよう、と歩は祈りを捧げるように 組んだ両手に額を付け、診察室の前で待つ。
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