3/6
前へ
/40ページ
次へ
  不安そうな歩に看護師長だけが残った。 「大丈夫、大丈夫ですよ。」 そう言いながら、貴子の布団を優しく整える彼女に 歩は心から安心して、涙ぐむ。 看護師長は一度躊躇してから、尋ねた。 「患者さんのご家族でいらっしゃいますか?」 いえ、と歩は苦笑する。 「家族ではないけど、親友です。 ・・・血は繋がっていなくても、誰より大切な・・・」 そう答えた自分に一瞬歩自身戸惑って、口を噤む。 そうですか、と看護師長は一度瞑目してから 決意したように貴子のガウンに手をかけた。 少しだけずらして、貴子の背中の大きな痣を見せる。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加