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  白くなった歩の手を看護師長が両手で包む。 零れた涙に看護師長は微笑んで、優しく言い聞かせる。 「そうである、という話ではありません。 ただ、その可能性がある、ということだけ・・・ 気に留めてあげて下さい。 背を預けていいはずの身内に暴力を受けた人は その行為に甘んじる事が多い。 自分が受けている不当な行為に無頓着になり 飲み込んでしまう人が多い。 でも、それは間違いです。 だから、貴女がその分、彼女の身を 気にかけてあげて下さい。」 分りました、と歩は声を絞り出すようにして答えた。
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