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どしんっ
「っ?!…………ぃったぁ……」
ベットから落ちて目が覚めた。猫が言った通りだ。起き上がると、背中が痛かった。まあ、ベットから落ちたのだから当然だけど。
時計を見る。そろそろ学校へ行く支度をしなければならない。
顔を洗い、簡単に朝食をすませ、着替えて家を出た。
近くのバス停から30分ほどバスにゆられ、学校の近くで降りる。歩き出すと、元気な声が聞こえた。
「はーーーるーーーと!!」
そう言って後ろから突進してきたのは柚木亮真。僕の親友だ。亮真は僕がおはようと言う前に言った。
「数学の宿題見せて!」
どうやら、いつものように宿題をやってこなかったらしい。
「……自分でやれよ。お前、やろうと思えば出来るだろ」
「時間かかるもん!数学って1時間目だろ?間に合わねぇって」
「昨日のうちにやっとけばいいものを……」
そんな言い合いをしてるうちに学校に着いた。教室に入り自分の席に着くと、早く見せろと言う様によう前の席の亮真がこっちに向く。
ため息をついてノートを渡した。結局はいつも見せてしまう僕も僕だ。
亮真がせっせと宿題を写し始めたので、読書でもしようかと本を取り出すと、クラスの女子が数名寄って来た。
「はる、おはよー」
「……おはよう」
まただ。いつも読書をしようとすると来る女子たち。よく飽きないものだ。
そんなことを思っているとはつゆ知らず、声をかけてきた女子───佐藤瑞姫は言った。
「ねえ、前に言ってたドラマ、昨日やってたんだけど、見た?」
「ドラマ………?あ。忘れてた」
「あはは、やっぱりー」
そう言ってクスクス笑う。正直この子は苦手だ。
勝手に話し始めた佐藤さんと取り巻きの女子達に愛想笑いをしつつ適当に相槌をうつ。早く終わって欲しいのだが、なかなか終わる気配はない。
10分程経ちゲンナリしていると、思わぬところから助け船が出された。
「春都せんぱーい」
教室の入口に、文芸部の後輩───矢来柴乃が立っていた。
「みんな、ちょっとごめんね」
そう言って席を立ち、教室を出る。後ろから、佐藤さんの早くねーと言う声が聞こえた。勘弁して欲しい。
「期待はしないでね」
振り返ってそう言い、柴乃の方を見る。
「どうしたの?」
「ちょっと、部活のことで。てか、相変わらずですね、あの取り巻き」
「ほんと、勘弁して欲しいよ。読書が出来ない」
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