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「一日をやり直す……?」
「はい。その砂時計は、あなたの心の状態を表しています。いまのあなたは、時間が進むことに苦痛を感じているのでありませんか?」
「……」
芽衣の言葉に、言葉を失う比呂樹。
「できることなら、未来へ進むべき時間を、逆に過去へと進ませてほしい……そう思っているのではありませんか?」
この先の未来は、すぺて汐莉のいない世界。
そんな、未来を一生をかけて紡いでいく。
それは、苦痛以外の何物でもない。
芽衣の言っていることは、比呂樹の心の声を、すべて言い当てている。
比呂樹は芽衣の存在を驚異に感じていた。
初対面の、おそらく自分よりも年下の少女に、心の中を見透かされている。
彼女は何者なのか?
一日をやり直すとは、どういうことなのだろう。
彼女は、比呂樹の時間を、過去へと戻すことができるのか?
どう考えても、納得できる話ではない。
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