落ちない砂

6/6
前へ
/86ページ
次へ
「ボクのことをいろいろ調べたみたいだけど、からかうのは、やめてくれないか」 「あなたをからかったところで、一文の得にもなりません」 「じゃあ、なんなんだ? ボクに何か恨みでもあるのかよ」  険悪な雰囲気を察し、周りの主婦や学生たちが、比呂樹たちに注目しはじめる。 「場所を変えて、冷静に話し合いませんか?」  そんな雰囲気を察し、提案を出す芽衣。 「ボクは帰るよ……これ以上キミと一緒にいたら、頭がおかしくなりそうだ」  砂時計を乱暴にテーブルに置き、行ってしまう比呂樹。  取り残される芽衣。  比呂樹がいなくなった途端、砂時計の砂が サラサラと落ちはじめた。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加