11人が本棚に入れています
本棚に追加
「本に挟まったままの、しおりを外さないかぎり、あなたの人生は先に進みません」
「そんなことは、分かってる」
イライラと芽衣に言い返す比呂樹。
「あなたは幸運にも私と出逢い、一日をやり直せる権利を得ました」
「いい加減にしろよ!」
大声を張りあげ、芽衣を睨みつける比呂樹。
「……」
比呂樹の言葉に、顔色ひとつ変えない芽衣。
「一日をやり直す……? キミのような女のコに、何ができる? あんな、壊れたオモチャの砂時計でいったい、何ができるっていうんだ!」
顔を真っ赤にして激昂する比呂樹……その目には大粒の涙が浮かんでいる。
「……」
比呂樹をまっすぐに、みつめている芽衣……その左目の眼帯を取り去る。
「……!? な、なんだよ、それ……」
芽衣の左目を見て、呆然となる比呂樹。
彼女の左目は、目玉がなく、代わりに時計の文字盤のようなものが、埋め込まれている。
その人間離れした片目の少女に、比呂樹は思わず立ちすくんでしまう。
最初のコメントを投稿しよう!