時の拘束

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「本に挟まったままの、しおりを外さないかぎり、あなたの人生は先に進みません」 「そんなことは、分かってる」  イライラと芽衣に言い返す比呂樹。 「あなたは幸運にも私と出逢い、一日をやり直せる権利を得ました」 「いい加減にしろよ!」  大声を張りあげ、芽衣を睨みつける比呂樹。 「……」  比呂樹の言葉に、顔色ひとつ変えない芽衣。 「一日をやり直す……? キミのような女のコに、何ができる? あんな、壊れたオモチャの砂時計でいったい、何ができるっていうんだ!」  顔を真っ赤にして激昂する比呂樹……その目には大粒の涙が浮かんでいる。 「……」  比呂樹をまっすぐに、みつめている芽衣……その左目の眼帯を取り去る。 「……!? な、なんだよ、それ……」  芽衣の左目を見て、呆然となる比呂樹。  彼女の左目は、目玉がなく、代わりに時計の文字盤のようなものが、埋め込まれている。  その人間離れした片目の少女に、比呂樹は思わず立ちすくんでしまう。
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