時の拘束

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 左目のところだけ、機械仕掛けの人形のようにすら感じる。  このコは、もしかしたら人間ではないのかも。  比呂樹は、にわかに、そう思う。  とにかく、すべての言動が、一般のこの年頃の少女とは違いすぎる。  たとえば……"神の遣い"。  芽衣がそういう存在ならば、時間を戻すことも可能なのかもしれない。  馬鹿馬鹿しい考えとは、比呂樹も思う。  しかし、どう考えても、芽衣の行動が比呂樹には理解できない。  なぜ、面識のない比呂樹に、彼女はここまで関わろうとするのか?  たんなる、妄想癖のある女のコ……そうとも考えられなくはない。  それでも、片目にこのような仕掛けを施している理由が分からない。  ヒト成らざるモノ……そう思わなければ、比呂樹には目の前の少女の存在を理解できない。
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