劣等感の勝利

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  「ジャーン」 クリアな容器の中で キラキラと濃いベージュが輝き、 金のキャップがついている。 「リップ?」 ぱちぱち、とまばたきをして KE-TAに問う。 KE-TAはウンウンと頷いて、 あたしの手のひらに それを乗せた。 「志緒ちゃん、メイクの仕上げしてよ!」 「え……」 「今さ、そこでジュース 飲んじゃって。 落ちちゃったんだ。だから」 「……」 断る理由が見つからなくて 「はあ」と気の乗らない 返事をしつつ、 ポンとキャップを外す。 「志緒ちゃん、よろしく」 .
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