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でも、先輩はただ厳しいだけじゃなかった。彼女の、周りに対する細やかな気遣いに、俺はいつもハッとさせられた。
芯が強く、仕事への責任感も人一倍ある。それでいて、たおやかで凛とした女性。俺の三谷先輩への印象は、そんな風だったから。
配属先の外食事業部で久しぶりに目にした先輩の姿に、俺は再び驚いた。
いつもそのままにしていた肩までの艶やかな黒髪は、後頭部できつく結い上げられていたし、騒がしい周囲の女子社員たちに一瞬向けた表情は、氷のように冷ややかだった。
まるで誰のことも寄せ付けないような雰囲気で、PCに向かい黙々と作業をしている。
俺と一緒に先輩から新入社員指導を受けた同期の中山 響子だけが唯一の例外らしく、二言三言、先輩と言葉を交わしていた。
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