3人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、当初の予定通りファミレスでランチをとる。
その間も圭太はむっすりと口を噤んだままだった。
「ちょっと夕飯の買い物するから、スーパー寄って良い?」
味気ない食事を終え、車に乗ってからそう問いかけると、「ん」と短い返事が返ってきた。
せっかくの休みだったのに。
あとは買い物して終わりか。
悲しみに沈んでいこうとする気持ちを少しでも引き上げようと、ハンドルを握ったまま片手でオーディオを操作し、ラジオをつける。
今流行りのポップスが流れ出し、私が手をハンドルに戻した途端。
「っち。」
苛立たしげな舌打ちが聞こえて、チャンネルが荒々しく回される。
次の瞬間には、車内に流れる空気とは相容れない、陽気なジャズが一人寂しげに流れ出した。
最初のコメントを投稿しよう!