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全く知らない場所、私物ではない衣類……今のこの状況で考えられることは、ひとつしかない。
俺は誰かに拉致されてしまったのだ。
……もう少し正確に言えば、拉致監禁とも。
どうしてこんな冷静でいられるのか、自分でも不思議で仕方がない。
ほら、こういうのって騒いでもどうにもならないだろうし。
……さて、どうしたものか。ここはベッド以外何もない。
とりあえず何かアクションを起こしてみるか?
ベッドからおりて、もう一度部屋を見回してみる。
狭いな、少し窮屈に感じてしまう。狭いところは好きじゃないんだ。
息苦しさを感じつつ、深呼吸でもして気を紛らわそうとした時だった。
微かに音が聞こえた。
こんこん、と壁を叩くような音が。
誰かが扉をノックしたのかとも思ったが、この部屋に扉なんてものは存在しない。
間違いない。誰かが壁を叩いている。向こう側から。
もしかすると、この壁の向こう側にも部屋があるのかもしれない。
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