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周囲には見渡す限りの花が咲き誇り泉が湧き鳥がさえずる、まさに幻想的な風景が広がっていた。
そしてそんな広大な庭園の真ん中でティータイムをしている二人の女性の姿があった。いや、女性と言う表現は少し間違いだろう。それはニュアンス程度の違いだが。
そこにいるのは二人の女神だった。
「はあ……暇だよねぇ、マギア」
「暇なのは今に始まったことではないでしょう? それに貴方はやる事あるのではないでしょうかナナイ。昨日張り切っていたではありませんか」
「ああ、新しい世界の創生? 止めた止めた、だって飽きたもん。どんなに世界を作ってもあとは勝手に人間は学習し発達して生きて行く。作ったところでそれで終わり。つまんなーい」
「飽きっぽいのもどうかとは思いますが……あなたは七人の神の頂点に立つのですから少しは自覚は持っていただかないと」
その言葉にナナイは手に持っていたティーカップを机に置き対面して座っているマギアに対して身を乗り出した。
「そんな事言うけどさー、私が司るのは創生だよ? 森羅万象を司るわけじゃないんだから。偉そうな肩書きだけ持ってるけど出来ることは大した事ない。マギアはいいよなー」
「どうして?」
「だっでそうじゃん、マギアが司るのは人、そして愛。たまに暇すぎて下界を眺めているけど人と言う生き物はどうも理解が難しい、故に面白い。私には生き物は創生できても一定の感情を超えた生き物、人は作る事が出来ないんだから」
人、それは愛を司る女神マギア・アモーレが作り出した愛を持つ生き物。マギアが愛という感情を深く与えた生き物だった。
「確かに人は私が作り出しました。でも私が人に与えたのは他人を思う心です。そんな気持ちはナナイには解らないでしょう?」
神と言う生き物はどうも合理的な生き物で感情はあるが人と比べた時にそれが薄い、
「確かに解んないかなー、第一神である私には愛する理由なんてない。あ、好きな神様はいるけどそれは人間で言うところの友達関係みたいなもんでしょ。だいたい好きって感情は人が子孫を残すためのものなんじゃないの?」
「そうかもしれないしそうじゃないかもしれません。人間の愛する気持ちは恥ずかしい話私にも無いものですから」
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