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プロローグ
その瞳は、紫水晶(アメジスト)のように輝く。
その肌は、雪の様に白い。
ほう、と思わずため息が零れてしまうほど、美しい。
その乙女が泣いた時、輝きながら流れていく涙は、宝石へと変わっていくだろう。
凍てつく瞳の男に囚われた、姫君は、それでも健気に嘘を吐く。
「貴方なんて、大嫌い」
それが嘘だと誰が思うだろうか。その少女を利用し、脅し、心なんて見せず冷酷に佇む狼を、誰が愛してくれると言うのだろうか。
二人の心に降る雪は、きっと誰も見たことが無い、優しい音が鳴るだろう。
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