この世は女神の箱庭

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私の記憶は3歳から始まる。それ以前の記憶なんてあるわけが無い。物心ついたのがその時期なのだから。 アンジェラ先生に拾ってもらったのは私が1歳の頃だったと言う。と言っても私の身元が分かるものなんて殆ど無く年齢を正確には解らない。それと私が付けていたペンダントに蒼い小さな水晶と一緒にマギア・ドゥミナスと書いたプレートが連なっていたとアンジェラ先生は言っていた。だから私の名前はマギア、マギア・ドゥミナス。この世界を創生したと言われる女神と同じ名前だ。 あ、アンジェラ先生と言うのは私が暮らしている孤児院の先生。アンジェラ先生が孤児院のそばで捨てられている私を拾って今日まで育ててくれた。だから私は今日まで生きて来た。 あと私には通常の人間には計り知れないほどの魔力が秘められているらしい。きっかけは私が9歳の時、孤児院の近くの山が大火事のなった事件があった。その時雨乞いの為にここら辺一帯を治めている王専属の魔導師が来たのだがその日記録的な大雨が降った。それはその魔導師が降らせたものではなく私だったみたいだ。その魔導師が私を中心として大きな魔力を感知したそうだ。 普通の人は魔法なんて使えないしその割合は全人間の5パーセントと言われている。しかも災害レベル、私が今回起こしたような魔法を使える人間なんて一人二人って話だ。だから国も皆は私の事を女神マギアが人としてこの世界に降臨した。現人神だと言われたのだ。 実際そんな能力があるなんて実感は無いしあれ以来使えない。今思うと魔導師が嘘ついたのではとすら思えたぐらいだ。 それからは私を注目する人もどんどんと減り今では昔みたいに孤児院でのそれなりに楽しい人生を送っている。姉妹に近い友達やアンジェラ先生との生活。 勿論これからもそんな楽しい生活が続くものだと思っていた。 だけどこの世界はどうも無慈悲みたいで私の小さい幸せは音を立てて崩れたのだ。 それは私が12歳の冬の時の話。
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