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真っ暗な空の下、稲妻が降り注ぐ大きな屋敷の2階の踊り場で、険しい表情で拳を構えた血まみれの青年と、無表情で佇む男が対峙している。
「…なぜだ……なぜこんな力がありながらあんなことを!!」
青年が息を切らしながら、男に強い口調で問うが、男は答えるどころか眉【まゆ】1つ動かさない。
「…お答えください…父上!!」
青年がもう一度、今度は先程よりも強く怒鳴るように尋ねる。
すると今度は男も口を開いた。
しかし、そこから出たのは問いかけへの答えではなく、嘲笑うような笑い声だった。
「なぜ…だって?くだらねぇ質問してんじゃねぇよ!戦争に犠牲は付き物だろ?」
男の冷たい笑みを一瞬の稲光が照らし出し、閃光のようなスピードで青年を一蹴する。
「…確かに…その通りです。私も一将軍である以上、それを否定する気はありません。ですが!あんな…あんなものは犠牲じゃない!!…!?」
吹き飛ばされた青年が、全身の力を振り絞って反論し、立ち上がろうと顔を上げた瞬間、男の掌がその首を掴んで持ち上げる。
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