第1章 雷雨の孤島で

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「読んであげよっか?」 「ううん…」 ルイの提案を断ろうとしたミリーだったが、彼のワクワクした表情を見て返答を飲み込んだ。 「…じゃあ、お願いしようかな!」 「うん!じゃあ、行くよ…我、トロント・ビアスは…」 ミリーが笑顔でそう答え、ルイが小さく息を吸って本を読み始める。 …我、トロント・ビアスは、ここに王座を巡る争いの始まりと経過を記すことにする。そして、願わくばこれを読むものがこの争いを終わらせる鍵となってほしい 争いの始まりは今から800年ほど前、世界がまだ1つだった頃に遡【さかのぼ】る 当時の世界はリドラスと呼ばれ、多少の争いや揉【も】め事はあったものの、いたって平和な世界だった しかし、その平和な日々は神王ゼウスの死をきっかけに崩れ始めた… ゼウスの死後、彼の政治の補佐役を勤めていた賢者と呼ばれる神の集団は次期神王を決めるために論議を繰り返し、その結果、神王直属の6つの戦神軍の軍隊長から選ぶことが決まった ところがその直後、賢者達はその結論によって命を落とし、戦神軍どうしの壮絶な戦いの日々が始まった
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