漢達のばれんたいん 弐之砦

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「二月十四日は日本男子にとって忘れてはならない日である。よってその日に我が校恒例行事を増やすことにした」 “恒例行事を増やす”に、生徒達の表情は青ざめ、ざわつき始める。 「三分以内に各クラスの代表を決め、代表者は前に…はじめっ!」 しかし、その場の空気を読むことなく、無情にも校長は開始を告げる。 あちこちで本気の乱闘騒ぎになりながらも、さすが絆愛の生徒達である。 きっちり時間内に各学年三クラスずつ、合計九名の代表者が選ばれた。 何人かは意識がないものの、漢二人羽織で規律正しく並んでいる。 「二月十四日は何の日か…」 腕を組み校長が静かに問う。 「はい!」 ニ年の毛呂出(モロダシ)が変形し鼻血を出した顔のまま手を挙げた。 「“に(2)ぼ(1=棒)し(4)”の語呂合わせから煮干しの日です」 そう言い残し、噴水のように鼻血を噴き出し意識を失った。 直ぐ様、皆に気づかれぬうちに、毛呂出のクラスの生徒が漢二人羽織でサポートに入る。 「にぼ…おそらく、それも合っておるのだろうな」 珍しく困惑の色を見せた校長であったが、すぐに落ち着きゆっくりと頷く。
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