漢達のばれんたいん 弐之砦

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「二月十四日は褌の日である!と、ともに、なんでも“ばれんたいん”と言う非常食用にチョコレートを贈る行事でもあるらしい」 “バサッ”と勢いよく袴を脱ぎ、脚を左右に開いて腰を落とし、真っ赤な褌を皆に披露する。 何人かが『微妙に違う…』と心で泣いているが、そんな心の声が届く校長なら、絆愛の校長などやっていられない。 「二人一組になり、カカオ豆からチョコレートを作ってもらう」 「あのう…一人余ってしまいますが…」 「なにぃぃぃ!?」 校長は『ひい、ふう…』と数える。 「いつの間にか一人足りんではないかぁぁ!」 校長の咆哮に耐えられず、校舎の窓ガラスが何枚も割れた。 その場の誰もがツッコミたいのは山々だが、誰も『足し算・かけ算から出直せや』なんて言えるはずもなく… 「あと一人増やせば簡単です。前から三列目のおまえ、入れ!」 一瞬で教師がその生徒を取り囲み、有無を言わさず取り押さえ前へ連行する。 辛うじて、適当な生け贄を見つけて捧げることで事なきを得た形だ。 指名された生徒にすれば踏んだり蹴ったりであるが、絆愛らしい結果だけオーライである。
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