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リックがいつも言っていた。
サクラの国には、サクラと同じ名前の花が、春になると美しく咲き乱れ、
その淡いピンク色の可憐な花は、柔らかく微笑むサクラのイメージにピッタリなんだって…。
兄がサクラのその笑顔を、心から愛していた事を知っている。
そして俺も、いつの間にか彼女の笑顔を愛してしまっていた…。
バレンタインの日には、リックは決まってサクラに真っ赤なバラの花束をプレゼントしていた。
「サクラのイメージは淡いピンクの花なのに、なんで真っ赤なバラ?」
不思議に思ってリックに尋ねてみれば、リックは嬉しそうに、そして照れ臭そうに微笑んで言ったんだ。
「勿論サクラのイメージは、淡いピンクの可憐な花だけど、
今日は俺の愛情をサクラに伝える日だからね。」
真っ赤なバラは、リックの情熱の色…。
零れ落ちそうな程のバラの数は、“抱えきれないバラの数だけ、君を愛している。”と言うリックの愛情の深さ…。
そんなリックの愛が、たっぷり詰まったバラを受け取るサクラは、バラと同じくらい耳まで真っ赤に染めて、それは嬉しそうに受け取っていたのを覚えている。
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