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 僕はいつも通り耳障りな目覚ましの電子音で目を覚ました。そこからはテレビを一切見ることなく着替えてから朝ごはんを食べる。  今日テレビを見る、ということは今日がバレンタインデーだと思い知らされるということになる。それだけは避けたい。 どうせもらえやしないのだから、そんなことから縁のないまま過ごし、今日の昼休みには忘れている……と、自分の心に言い聞かせる。  悲観的になってこんなことをしているわけではない。変な期待をしないよう、己に現実を直視させようとしているにすぎない。 きっと、それが大人になるということで、僕はクラスメイトの中で誰よりも早く大人になれることだろう。 頬を二回ほど叩いてから靴ひもを結び、僕は学校へと向かうべく家を出た。  僕の知らないところで、何かが起こっている。僕はそう考えざるを得なかった。 何故ならば、通学路に同じ高校の制服を着た人間が女生徒しかいないからである。 男子生徒は全員が登校を拒否したのだろうか。 どうせチョコなんぞもらえないし、だったら今日は家に一日引きこもろう、みたいな感じで。    いっそのこと僕もそうしようかなと思ったが、今からでは家より学校の方が近いしどうせなら学校に行っておいた方がどちらかと言えば得な気がする。
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