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 靴箱を開けると、手紙が一枚入っていた。どうせ誰かのイタズラだろうと、僕はそれをポケットに入れてから上履きに履き替えて教室へ向かう。 途中ですれ違う人も、女生徒しかいないが、それにはもう違和感を覚えない。いつも通りの時間、早いわけでも遅いわけでもない時間に教室へ入ろうとすると、僕は思わず口を開けて立ち止まってしまった。 まだ朝のHRまではじゅうぶん時間がある。それなのになぜ、すでに八割と言った男子生徒が着席しているんだ!    何が、何が彼らをここまで駆り立てるのか謎だが、どこかで読んだことがある。これはおそらく作戦名プリーズコールミー。 通称PCMとよく言われる作戦名だ。大勢で群れていたら声をかけにくいだろうと男子が勝手に思い込み、あえて誰とも絡まず一人でいることで声をかけやすくするという男子が勝手に女子へ配慮する作戦だ。 一見するとバラバラなこのクラスの男子生徒だが、心は一つということか……! しかしそんな作戦になんの意味があるんだ。一体、そんなことをして何になるんだよ! こんな悲しい努力があってたまるかよ。 みんなの、みんなの目を覚ましてあげないと! とりあえず、すぐ左の席に座っているやつに声かけよう。
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