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死んでしまったら意味がない。
それなら今は言う通りに江戸に戻り、また役に立てる道を選ぶ方が良いと思った。
江戸に経つ前の晩、彼女はニコリと笑ってたった一言”ありがとう”と言った。
それが、彼女と交わした最後の言葉だった。
ーーそれからすぐに、幕府と新政府との戦い……戊辰戦争が始まった。
とても寒い、冬の日のことだった。
彼女はこれを知っていた。
だから僕を新撰組から遠ざけた。
理由はきっと、僕を生かすため。
様々なことを考えて。
でも会うことは叶わずに季節だけが過ぎていった。
その後風の噂で、幕府側が敗れたと聞いた。
でも、新撰組の人達は誰一人として戻ってこなかった。
そして、季節は巡って桜の時期も過ぎた頃。
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