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あれから何年もの時が過ぎたけれど、やっぱり彼女は戻ってきていない。
「総司、どこ行くんだ?」
「ちょっと森林浴に行ってきます」
そう告げて人気の少ない森へと向かう。
ここは、想い出の場所。
彼女を拾ったのも、この森の中だ。
漸く彼女を失った傷も癒えてきたこの頃になって、ここに足を踏み入れることが出来るようになった。
こことは違う、先の世から来たと言っていた彼女。
きっと、役目を果たして元の時代に帰ったんだと、最近では思うようになった。
それならそれで良い。
廃刀令が出て刀を持ち歩けなくなったけれど、未だに争いがあるこの時代より元いた時代の方が平和に決まっているから。
僕達を守りたいと言った。
そのために人を殺めた。
優しい君は心を痛めていた。
だから、そんな君に伝えたい。
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