現代

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「KIJI、起きろ!」 「え?」 呼ぶ声に目を開ける。 見えたのは心配そうに見下ろすSARUと、その後ろに真っ青な空だった。 「ここは……?」 SARUに手を引かれてゆっくりと立ち上がる。 カツンと鳴る地面に違和感があって見れば、真っ白な地面があった。 「ここって、社長」 「間違いない。うちの社屋だ」 桃太郎兄と桃子の会話がよくわからない。 「ふたりだけで納得してないで教えてくれ、ここはどこなんだ!」 INUの声に私も頷く。 辺りを見れば同じような建物が地面からにょきにょき生えてる。 ここが地面ではなく、建物の上っていうのはわかるけど……。 「いや、だから株式会社桃太郎の、俺の会社だ」 「です」 と、いうことらしい。 その答えに次の言葉を失ったのか、INUは開いた口を開いて閉じる。 「なんでこんなところに……?」 INUがそう聞いたのはSARUに対してなんだけど、 「俺に聞くな」 勿論SARUにも分からない。 それにしても──。 上から下を見下ろすと人間が歩いてる。 そして煙を吐いて動く乗り物も。 「あれは化石燃料で動く車だな。歴史の授業で習ったことがある」 灰色の道を結構なスピードで走ってるのは車というものらしい。 「うーん、なんだか分からんが下りてみるか。社員がいるだろうし」 「いいですけど、ここ屋上なんで誰かに鍵を開けて貰わないと」 桃子の言った通り、桃太郎兄がたったひとつあるドアに手をかけたけどそのドアはガチャっと冷たい音を奏でるだけで開かなかった。
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