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「面倒くさいな、蹴破ればいいだろ?」
「ダメです! それ直すのにどれだけお金がかかると思ってるんですか!」
SARUの言葉に目くじらわたてて怒る桃子。
その形相にあのSARUですら怯んでたから面白い。
「ちょっと待ってください、私のスマホで……」
桃子がそう言いながら取り出したのは四角い何か。
「きゃー! 社長! 電波立ってます!」
「いや、当たり前だろ?」
「今までは立ってなかったんです!」
「だろうな。いいから電話しろ」
呆れる桃太郎兄の隣で桃子はそれを操作して、耳に当てた。
「繋がってる繋がってる、ふふ」
なんだか桃子は楽しそう。
そして。
「あ、チナちゃん? きゃあ! 繋がった!! え? あ、うん、えとその話は後で! 今社長と屋上に居るんだけど鍵開けてもらっていいかな? うん、居るから」
一方的に桃子は話して、四角い物体から耳を離した。
「社長も居るって言うことで向こうも大騒ぎみたいです。社長っていつからあっちの世界に居たんですか?」
「うーん、全然分からん。って、桃子は?」
「全然分かんないです」
「だよな?」
「ですよね? ってこれって有休使ってもいいですか?」
「あ? 無断欠席だろ? そんなん許さん」
「何でですか! 社長だって同じじゃないですか!」
「俺は社長だからいいんだよ」
「差別だー!」
二人が分からない会話をしてる間に、ガチャッと金属の扉が開いた。
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